熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理


熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理 熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理
日経BP社 日経BP社
¥ 2,310


   ソフトウェア開発のプロジェクト管理において、人間中心の独自の視点からユニークな見解を見せるトム・デマルコが、各方面で話題を呼んだ『ピープルウェア』でのパートナー、ティモシー・リスターと再びタッグを組んだ。今回のテーマは「リスク管理」。昨今のシステムの大型トラブルを持ち出すまでもなく、リスク管理の重要性はさまざまな方面で説かれてきた。しかし、「リスク管理」とは具体的にはどういうことを指すのだろうか。本書はその定義を明確にし、予測できないリスクを数値化する手法を紹介する。リスクを避けるのではなくリスクをとることによってしか、ライバルとの競争で優位に立つことはできないのである。

   デマルコは、リスク管理を「リスク管理は大人のプロジェクト管理だ」(第2章)の一言で定義している。子どもは都合の悪いことを知らなくてもよいが、起こりうる悪い事態を認識し、それに備えるのが大人である。それこそまさにリスク管理であるということだ、と。プロジェクトにとって望ましくないリスクを半ば無意識に葬ってしまうことや、「間違えるのはかまわないが、不確かなのはだめだ。」(第6章)とする旧来的な企業文化は厳然として存在するが、デマルコは、「バラ色のシナリオだけを考え、それをプロジェクトの計画に織り込むのは、子どもっぽいとしか言いようがない。」(第2章)と言い切る。

   とはいうものの、やはりリスク管理は難問だ。なぜなら、わからないものを数量化しなければならないからだ。本書では、数学的だが難解ではないグラフを用いて不確定性を具体的な数値に置き換えることで、不確定要素を有限なものとし、コストを最小限にすることを試みる。そして、最終的にはどこまでリスクをとれば価値に見合うのかの論理的な解説がなされる。リスクの正体と予測及び対処方法に関してひとつの指針が打ち出されたという点で、少なくともプロジェクトマネージャの地位にある人は目を通すべき1冊だ。しかし、本当に本書の内容を理解する必要があるのは、プロジェクトマネージャーのさらに上に立つ管理者や経営者かもしれない。(大脇太一)


ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解
ピープルウエア 第2版 - ヤル気こそプロジェクト成功の鍵
デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則
デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか
人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない (Professional computing series (別巻3))

■リスク管理とは 評価4 日付2008-08-10
デマルコさんの本はやはり読みやすいです。
プロジェクトのリスク管理について書かれた本です。

全体の構成は下記のような問いに答える形になっています。

第1部 なぜリスク管理をするのか。
第2部 なぜリスク管理をしてはいけないのか(体制が整っていない組織にリスク管理を導入することの逆効果をいくつか説明する)。
第3部 どのようにリスク管理をするのか。
第4部 組織はどこまでリスクを受け入れるべきか。
第5部 リスク管理手法が有効かどうかをどのように判断するのか。

特に参考になったのが、スケジュールのたてかたでナノパーセント日という考え方です。
■リスクを理解するなら、これ1冊で十分! 評価5 日付2007-04-08
→もし、新任プロマネに3冊の本を薦めるなら、必ずエントリーする本
 私自身、数人のプロマネから読むことを薦められていましが
 今回始めて読みましたが、確かにスゴイ!

→「熊」という「リスク」に 喰われるのではなく
 「ワルツ」という「ゆったりと向きあいながら」、一緒に愉しむという本

→プロマネの難しい言葉や、細かい数字は出てきません
 事例も散りばめられているので、読みやすいです!

→リスクを理解するなら、これ1冊で十分!
■リスク管理の本質 評価4 日付2006-07-16
デマルコ、リスターの本ばっかり読んでいる
最近の私です。

だって、、おもしろいから。(^o^)/

この本では、従来おざなり(あるいは形骸化している)
ソフトウェア開発PJにおけるリスク管理について
言及しています。

このシリーズのいいところは
従来では「ソフトウェア開発の常識」といわれているところや
「現場でいっちゃならぬタブーなこと」について
バッサバッサと気持ちがいいくらいに論破しているところです♪

タイトルもイイ。
そう。リスクと向き合うということは熊とワルツをおどるような
もんですわ。

プロジェクト管理者(上司)によませたい、一冊(一殺!?)笑
ただ、理論がおおいかなぁ。。若干。なので☆4つ!
■何も起きるはずはない、と信じる権利は誰にもない 評価5 日付2006-06-09
トム・デマルコといえば、80年代から90年代前半にかけて活躍したシステムコンサルタントで、構造化技法(DFD法)の発案者としても著名だ。1987年刊の『ピープルウェア』はチームビルディングへの深い洞察を軽妙なユーモアで綴ったエッセイで、ソフトウェア開発者のバイブルとしていまも読み継がれている名著だ。

本書はそのデマルコの最近刊である。軽妙ユーモラスにして核心を突く警句の数々は依然健在だ。

リスク管理は「おとなのプロジェクト管理である(p15)」、とデマルコは言う。子供たちは普段、隣国の核兵器開発や治安の悪化、環境破壊などを心配しなくてもよい。が、大人はそうはいかない。子供たちを守るために、そうした「望まない結果」のことまで目を配って当然だからだ。このような巧みなアナロジーがリスク管理の本質を端的に指摘して新鮮である。

また本書には他に見られないユニークな方法論がひとつある。「ナノパーセント 日」という考え方である。

プロジェクトの完成予定日は実は確率分布である。まったく何の障害もなく完成する最楽観スケジュールと、どんなにひどくともここまでには完成する最悲観スケジュールの間のどこか。それが完成予定日の真の姿だ。もちろん、最楽観日に完成する確率はほとんどゼロ、すなわちナノパーセントである。「不確定性の幅は、その組織の開発プロセスにどれだけノイズがあるかで決まる(p67)」。にもかかわらず大半のプロジェクトはこのナノパーセント日を完成予定日にしてしまう。

リスクとは「望まない結果を生むかもしれないもの(p16)」のことである。人間は誰でも「望まない結果」から目を背けがちだ。しかし、何も起きるはずはない、と信じる権利は誰にもない。だからリスク管理が必要なのである。

ともかく800字ではとても書ききれない。ぜひ、本書を手にとって欲しい。
■みんなが読んでおいた方が良い、読むべき本。 評価5 日付2006-04-15
危機管理の基本的性質は回避策。一方、リスク管理の基本的性質は受容策。タイトルの「熊」がリスクの比喩であることは明白ですが、「ワルツを」と言う部分から、これがリスク回避ではなく受容の本であることを暗に示しています。リスクと上手くやって行くと言うことですか。

特に目新しい考え方、捉え方と言うのは紹介されていませんが、デマルコ特有の軽い語り口(軽妙な翻訳)がその理解と認識を深めてくれます。特にRiskologyというプロジェクトのリスク分析シミュレーター(Excelワークシート)を利用したリスク分析プロセスが有用です。

トム・デマルコの本は、手法や方法論の紹介と言うよりも、考え方、ポリシーの紹介とその徹底が主旨なんだと捉えています。そういう意味では、プロジェクト管理に携わるかどうかに関わらず、みんなが読んでおいた方が良い、読むべき本だと思いますね。
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